本コンテンツでは車の維持に必要なメンテナンスについて元自動車整備士が解説しています】
自動車のメンテナンスについて知らない人が多いと思います。
みなさんは愛車のメンテナンスはしていますか?車検を受けているだけではありませんか?そういう人がほとんどだと思います。
自動車は消耗品なので、メンテナンスをせずに使い続けると、消耗していきます。
一般的に自動車は走行距離が10万㎞か新車購入後10年前後で買い替え時期と言われています。
10万㎞を超えてくるとメンテナンスしていた車としていない車では「故障」という形で差が出てくることも少なくありません。
逆にしっかりとメンテナンスをしていれば10万㎞走っても重大な故障をせずに、愛車を乗り続ける事ができる可能性が高くなります。
10万㎞以上走れるなら、中古車を購入も視野に入れることができるのではないでしょうか。
昔と違い、今はヤフオクやメルカリなどのフリマサイトでも自動車が購入できるので、選択肢が増えると思います。
点検の種類
点検には車検、法定点検、日常点検と大きく分けて3種類あります。
車検はみなさんもご存知だと思います。
車検と法定点検とは少し異なり、車検は保安基準に適合しているかを検査するものになり点検ではありません。
例えばエンジンオイルが汚れているとします、しかしエンジンオイルの汚れは保安基準には該当しないので、真っ黒に汚れていても車検は通ります。
このように車検は点検ではないのでユーザー車検のように車検を通すだけの工場などでは、お客様にエンジンオイルが汚れていますが車検は通りますと説明し、車検通るならそのままでといった感じに交換されず、次回の車検まで放置されたりすることもあります。
法定点検は本来受けなければならない義務がありますが、受けていなくても罰則等がないので、受けていない方も多く、特に中古車を購入した人はほとんど受けていないのではないでしょうか。
ディーラーで新車や中古車を購入した人は、法定点検の案内が来るので受けている人も多いと思います。
法定点検を受けていれば、基本的な消耗部品の交換は促されると思いますが、まだ交換する必要のない部品も、整備士や店舗方針で多少異なりますが、大体は予防の意味を含めて交換を促します。
そこで自分でもできるメンテナンス、交換しておくべき部品を解説したいと思います。
自分でもできるメンテナンス
自分でもできるメンテナンスですが、本来は車に乗る前に日常点検というものをしなくてはなりませんが、知らない人が多いと思います。
点検項目については15項目あります
- ブレーキ液の量
- 冷却水の量
- エンジンオイルの量
- バッテリー液の量
- ウォッシャー液の量
- ランプ類の点灯
- タイヤの亀裂
- タイヤの空気圧
- タイヤ溝
- エンジンのかかり具合、異音
- ウォッシャー液の噴霧状態
- ワイパーの拭き取り
- ブレーキの踏みしろ、効き具合
- パーキングブレーキの引きしろ、踏みしろ
- エンジンの低速、加速具合
といったような項目があります。
この項目が全て点検できれば、言うことはありませんが、女性の人や車を知らない人にはかなりハードルが高いと思いますし、日常点検項目を見ているとはメンテナンスという観点ではなく正常に走行できるか?という点検になります。
この項目の中からメンテナンスに関わるものをいくつか簡単に説明していきます。
※国土交通省のホームページにも記載されています。
ブレーキオイル
ブレーキオイルは量が減れば前述のブレーキの踏みしろ、効き具合にも大きく影響されます。
漏れていなくても多少は減りますが、ブレーキの効きに影響がでる物なので、整備士に点検、交換してもらう方が無難だと思います。
一般的に交換周期は2〜4年になり、車検ごとに交換する店も多いと思います。
オイルは販売されていますが、交換方法も特殊ですし、一般家庭では廃油の処理が難しいので、交換、廃棄を整備士に依頼した方がいいと思います。
冷却水
冷却水は、年配の方には自分で補充する人も少なくないと思います。
冷却水量が少なくなれば、エンジンがヒートし最悪エンジンが故障することになりますので定期的に補充することをオススメします。
冷却水には色がついていますが、自動車メーカーにより異なりますが基本的には水道水でも問題ありませんが、冬季や寒冷地に住んでいる方は凍結してしまう恐れがあるので市販されている冷却水を補充してください。
走行後すぐ冷却水を補充すると、冷却水が吹き出し火傷してしまうので控えてください。
また走行後に車周辺から甘い匂いがするときは、冷却水が漏れていることもあるので参考になればと思います。
エンジンオイル
エンジンオイルは車の血液と言われているほど重要なものになり、逆にエンジンオイルさえ交換しておけば、寿命は長くなり、交換しなければ寿命は短くなります。
エンジンオイルの役割は5つあります。
潤滑、防錆、洗浄、冷却、密封の役割を持っています。
エンジンオイルの種類によりますが、一般的に半年、5000㎞でエンジンオイル交換、1年、1万㎞ごとにオイルエレメント交換となっています。
オイルエレメントとはエンジンオイル中の汚れを取り除くフィルターです。
エンジンオイルの種類は大きく分けて化学合成油、部分合成油、鉱物油の3種類あります。
化学合成油は高価ですが、不純物も少なく劣化がしにくいオイルです。
部分合成油は化学合成油と鉱物油を合わせたオイルとなっています。
鉱物油は他のオイルに比べ安価となっています。
またエンジンオイルには粘度表記があります。
例えば 5W-30という表記のエンジンオイルがあります。
5が低温時の粘度、Wはウィンター、30が高温時の粘度です。
粘度は小さい程サラサラ、大きい程ネバネバとなっています。
メリット | デメリット | |
低粘度オイル | 低温での始動性が良い | エンジンの保護性能は高粘度オイルが良い |
燃費が向上する | ||
高粘度オイル | 高温でもエンジンを保護する | 低粘度オイルに比べ燃費が悪くなる |
静粛性に優れている |
車によって推奨する粘度があるので、取扱説明書を確認し外気温や乗り方に合わせて粘度、エンジンオイルの種類を選定してください。
バッテリー
バッテリーは車を始動するために必要な重要な部品の一つで、項目の10とも大きく関わっています。
また始動時以外にも、パワーウインドや、ライト、オーディオといった電装部品に電力を供給しており、寿命は2年から3年ですが、使用環境によっては、さらに短いときや長いときもあります。
バッテリーが上がってしまうとエンジンが掛からなくなりますし、比較的高価な部品となっているので交換するタイミングが非常に難しいと思います。
エンジン始動時にスタータの回転が悪いと感じた時や、重く感じるようになったときはバッテリーの性能が落ちてきているので、こういった症状がでた時は交換した方がいいのではないでしょうか。
スマートフォンのように車のバッテリーが膨らんでくることがありますが、そのままにしておくと破裂する恐れがあり大変危険ですので、すぐ交換しましょう。
バッテリーの交換方法は簡単ですが、色々なデータがリセットされ、車種によってはテスターで調整する車もありますし、廃棄バッテリーの処理もあるので、ディーラーやカーショップでの交換が無難ではないでしょうか。
ウォッシャー液、ワイパー
ウォッシャー液は自分でも簡単に補充できるので、安く市販されているので、タンクが空になった時は補充してみてください。
普通の水道水でも特に問題はありませんが、汚れが気になる方や寒冷地に住んでいる人は市販のウォッシャー液を入れてから水道水を補充してください。
タンクに液が入っているのに出ない時は詰まっているので、針などの細いもので穴を清掃してください。
ワイパーも簡単に交換できるので、拭き取りが悪いと感じた時は自分で交換してみてください。
注意点としては、アームがガラスに当たるとガラスが割れてしまうのでタオルやウエスをアームに巻いて作業すれば問題ないと思います。
ランプ類
ヘッドライトにはハロゲン球、HID、LEDの3種類ありますが、昔ほどハロゲンを使用している車が少なくなっているので、交換する頻度は減っていると思います。
ヘッドライト球は自分でも簡単に交換できますが、古い車は劣化も進んでいるので、留め具が破損してしまうこともあるので、古い車は整備士にお任せしたほうが無難だと思います。
破損するとヘッドライト全体を交換しなければならないのでコストがかかってしまうので交換する時には注意が必要です。
ブレーキランプなどの球もLEDが使われていることも多いので交換の頻度はかなり少ないと思います。
球切れしたまま走行していると整備不良として交通違反になることもあるので注意が必要です。
タイヤ
続いてはタイヤですが、タイヤについて気にしている人は意外と少ないと思います。
走行に直接関わりますし、安全にも関わるのでこまめに点検しましょう。
何を気にして見ればいいか分からないと思いますので、いくつか紹介したいと思います。
まず一つ目はタイヤの空気圧です。
最近では自分で空気圧を見るガソリンスタンドが多いと思います。
車の車種に応じて運転席ドアを開けたところに、プレートが貼っており、空気圧が書かれています。
空気圧が適正でないと偏摩耗してしまったり、バーストしてしまったりしてしまうこともあるので空気圧は定期的に点検するように心がけましょう。
二つ目はタイヤ溝です。
タイヤ溝は車検の適合は1.6㎜となっていますが、あくまで車検の適合となっているので注意してください。
一般的には4㎜くらいが寿命と言われていますが均等に摩耗するわけでもないので判断は難しいのではないかと思いますので、一番摩耗の進んでいる箇所が4㎜を切ってきたら、ディーラーなどで点検してもらうといいと思います。
摩耗が進むと制動距離に影響が出たり、雨天時にスリップしたりするので、こまめな点検をオススメします。
3つ目は亀裂です。
空気圧、溝をこまめに点検していると亀裂にも気付くようになると思います。
タイヤはゴムなので経年劣化で亀裂が入ってきます。
浅い亀裂は問題ありませんが、深い亀裂になると高速道路でバーストしてしまったりする危険が大きくなります。
深い亀裂はタイヤ内部のコードというワイヤーが見えてきたら早めの交換をお勧めしますが判断が難しい時は専門家に点検してもらうようにしてください。
ガソリンスタンドで点検してもらうよりもディーラーなどで点検してもらった方がいいと思います。
タイヤを長持ちさせるコツとしてタイヤローテンションをすることで摩耗が分散され均一にすることで長く使用できるようになります。
タイヤは駆動する箇所の摩耗が早くなるので定期的にローテーションすることで摩耗が均一になります。
前輪駆動車なら右前を左後ろと入れ替え、左前を右後ろと入れ替えることを定期的に行うことで摩耗が均一化しタイヤ交換の頻度を減らすことができます。
タイヤによっては駆動方向が決まっているものもあるので注意してください。
タイヤローテーションも車載ジャッキでも簡単にすることができるので、コストを気にされる方はぜひ自分でやってみてはいかがでしょうか。
エアフィルター
項目にはありませんがエアフィルターの交換も定期的に行うことで、燃費、エンジンのパワー維持、エンジンの保護にもつながります。
交換の目安は大体3万㎞毎の交換で問題ないかと思います。
エアコンのフィルターとは別なので購入する時は間違えないよう注意してください。
エアコンフィルター
エアコンフィルターは車外の空気を車内に取り込む際にフィルターを通過することで濾過するフィルターになります。
外気導入で風量が弱くなったりする時は、エアコンフィルターを交換することで改善することができます。
愛車で楽しいカーライフを
いかがだったでしょうか?車は適切な点検、メンテナンスをすることで、ガソリン車の一般的な乗り換え時期の10年10万㎞を超えても乗り続けることができるようになります。
逆に、しっかりとメンテナンスがされていないと故障が多く発生したりもします。
中古車購入の時も欲しい車が10万㎞に近いと諦めてしまったりすることも多いと思いますが、しっかりとメンテナンスされている車なら10万㎞でもまだまだ走れるのではないでしょうか。
SNSやフリマアプリで購入される場合も前オーナーが大事に乗っていたか、メンテナンスはしっかりしていたかを判断材料に加えてもいいと思います。
自分だけの1台を見つけて、愛車をいつまでも綺麗に、
楽しいカーライフを送ってみてはいかがでしょうか。
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