新車と比べてお手頃な値段で手に入れることのできる中古車ですが、いくら中古車とはいえ、安くても数十万単位の高いお金を払いますから、失敗はしたくないですよね。
特に、車のメカニズムについては、専門知識がない方が多いかと思います。
知らず知らずのうちに『買った車、見た目はキレイだけど、中身はボロボロだった!』なんてことは避けたいところ。
この記事では、調子のいい中古車を選ぶためのチェックポイントや、よくある故障事例を解説していきたいと思います。
今回はエンジンとタイヤの間にある部品、『トランスミッション』について注意したいポイントを解説します。
トランスミッションとは
ギア付きの自転車を思い浮かべてみてください。
自転車を漕いでいて、登り坂では軽いギアを使って登りやすくして、平坦な道ではスピードが出るように重いギアに切り替えていたと思います。
この『走行スピードや負荷に応じてギアを切り替える仕組み』のことをトランスミッションと呼びます。
このうち大きく分けて、
・車が自動でギアを切り替えてくれる『AT(オートマチック)』
・ドライバーが手動でギアを切り替える『MT(マニュアル)』
があります。
中古車のミッションのチェックポイント
トランスミッションは、車の中でも比較的壊れにくい部類に入ります。
車が走るためには必ず必要な部品となり、エンジンと同じく新車から5年10万キロのメーカー保証がついている車両もあります。
つまり10万キロ程度の走行距離では、ほとんど壊れることなく過ごせるように設計されているということです。
しかし、丈夫なトランスミッションといえども、部品の摩耗や前オーナーの乗り方によっては不具合が発生しているケースがあります。
また、トランスミッションの修理は構造が複雑であるため、修理が高額になってしまいます。
そのため、中古車の場合、『前オーナーがトランスミッション故障の前兆に気が付いて売却した』というケースもあり、購入前にはできるだけ状態をチェックしておきたいところです。
ATとMTでチェックするポイントが変わってきますので、それぞれ順を追って解説していきます。
まずは試乗をお願いしましょう
お店によって対応が異なる部分はありますが、中古車も基本的に試乗は可能です。
特に、今回解説するトランスミッションは、車が走行している状態でないと詳しくチェックすることができません。
車検が残っていて公道を走行可能な車両の場合は、エンジンや他の部分の確認も含めて、まずは試乗をお願いするようにしましょう。
AT車を購入する場合のチェックポイント
AT車のミッションは、MT車と比較すると部品点数が多く構造が複雑なため、万が一修理になってしまうと高額修理となってしまう傾向にあります。
せっかく買った車を快適に楽しむためにもしっかりとチェックしてみましょう。
ここではAT車特有の以下の5項目について詳しく解説していきます。
・異音や変な振動がないか
・発進時・変速時のショックが大きくないか
・ミッションの”滑り”がないか
・ミッションのオイル漏れがないか
・オイルは定期的に交換されていたか
異音や変な振動がないか
お店の周りを流れに沿って走ってみて、明らかな異音や振動が出ていないかどうか確認しましょう。
異音や振動は他の部分にも関わってくるので、ミッション単体の異常と特定することは難しい場合がありますが、いずれにせよこれらは車体のどこかに不具合が発生しているサインでもあります。
正常なATの場合は、全域でスムーズな変速を行ってくれますが、
・発進時にガタガタガタという振動
・『ヒューン』『ゴー』といううなり音
このような症状が見られる場合は、動力を伝えるクラッチや、ベアリングといった内部部品の摩耗によって発生しているケースが多く、修理するためにはミッションを外してすべて分解するか、本体ごと交換が必要になります。
明らかに振動や音が大きい場合は、注意が必要です。
発進時・変速時のショックが大きくないか
発進時やギアが切り替わる瞬間などに『ガクン』というショックが大きくギクシャクする場合は、
・内部部品(クラッチ)の摩耗による部品同士の隙間の増加
・ギアを切り替えるバルブボディの作動不良
・内部のオイル通路の詰まり
などが考えられます。
また、ATF(オートマチックフルード)の劣化も一つの原因です。
ATFは内部の摩耗を抑える働きとバルブの油圧源としての働きを持っています。
ATFが劣化することで、部品の摩耗が進み、バルブの動きも悪くなるためショックの増加として症状が現れてきます。
しかし、10万キロ以上無交換である場合は、逆にATFを交換することで固まっていた汚れが浮いて内部を詰まらせてしまい、故障の原因となる場合があります。
ATFが交換された記録がなく、すでにATに異常が見られる場合は、その車は避けておいたほうが無難です。
ミッションの”滑り”がないか
正常なATの場合は、アクセルの踏み込みに対してほぼリニアに速度が上昇していきますが、滑りが発生している場合は、『アクセルを踏んでもエンジンが吹けるばかりで加速しない』といった症状が現れます。
これは、AT内部の『クラッチ』という摩擦によって動力を伝える部品が摩耗して、エンジンの力を伝えられなくなっている場合に起こります。
この滑りの症状が現れている場合は、重症であると考えて良いでしょう。
クラッチ以外の部品も同様に摩耗していることが予想されるので、修理する場合はATを丸ごと交換することになります。
試乗の時点で滑りの症状が確認出来た場合は、その車は購入を控えた方がよいでしょう。
ミッションのオイル漏れがないか
引用:http://www.tanaka-a.com/
最後にミッション外部のオイル漏れを確認しましょう。
こちらも中々ミッション単体の不具合を特定することは難しいですが、
このように部品のつなぎ目からオイルが垂れてきていないか、見える範囲で下から覗いて確認してみましょう。
試乗後はオイルが暖まって流れやすくなっているので、漏れている箇所を確認しやすくなります。
トランスミッションのオイルは赤色のオイルを使用している場合が多いので、エンジンオイルの茶色~黒っぽい色とは違う色のオイルのにじみや漏れがある場合は注意深く確認してください。
オイル漏れの修理をする場合、一度ミッションを取り外して漏れている箇所のオイルシールやパッキンを交換するといった作業になります。
丸ごと交換するよりは費用は安く済みますが、ミッション脱着が必要になるのでそれなりの工賃がかかってしまいます。
ATF交換履歴の確認
ATFはエンジンオイルの交換時期ほど交換の必要性を気にされていない場合が多い傾向にありますが、エンジンオイルと同じ油脂類の一つですので、確実に劣化は進んでいきます。
車種によっては『交換不要』とされている場合もありますが、概ね30,000~50,000km毎にATFを交換すると、良い状態を保つことができるでしょう。
ただし、一つ重要な点として、オイルは必ず純正品を使用するようにしてください。
メーカーによってはオイルの相性に非常にシビアなものがあり、良かれと思って交換したにもかかわらず、余計にATを痛めてしまっていたということにもなりかねません。
どのようにATFが交換されていたかどうか、整備記録簿などで確認しておきましょう。
MT車を購入する場合のチェックポイント
いわゆるスポーツカーに分類される車や、軽トラックなどの商用車系によく使われているMT。
ATと比較するとシンプルな構造になっているので、ミッション本体は壊れにくい傾向にありますが、クラッチ周りなどMT特有の故障や、見るべきチェックポイントがあります。
ここではMT車特有の以下の5項目について詳しく解説していきます。
・クラッチに滑りや違和感がないか
・スムーズにシフトチェンジができるか
・異音や変な振動がないか
・ミッションのオイル漏れがないか
・油脂類の交換履歴の確認
こちらはAT車と同じ項目もありますが、少々内容が異なってきます。
クラッチに滑りや違和感がないか
MT車ならではのクラッチ操作に違和感がないかどうか確認しましょう。
クラッチは消耗品のため、必ず寿命が来ます。
買おうとしている車のクラッチがどのような状態なのか確認しましょう。
クラッチペダルを踏んだ際に『ギィー』『ギュルギュル』といった変な音しないか
引用:https://www.goo-net.com/
エンジンをかけて、クラッチを踏み込んだ時にこのような音が発生している場合は
クラッチのONOFFを切り替える『レリーズベアリング』の故障の可能性があります。
修理にはミッションを脱着する必要があるので、3~6万円程度の作業工賃が発生します。
クラッチが繋がるポイントが手前に上がって来ていないか
クラッチは前オーナーの乗り方によって摩耗度合いが大きく変わってきます。
一般的に、クラッチが摩耗してくると、ペダルを戻していった時にクラッチが繋がる位置が手前に上がってきます。
足を離す直前までクラッチが繋がらないような場合は、かなり摩耗が進んでいる可能性があります。
シフトアップ時や高いギアでアクセルを強く踏み込んだ時に、エンジン回転だけ吹け上がることが無いか
クラッチが摩耗してくると、車に負荷がかかった時にエンジンのパワーを伝えきれず、滑る症状が出始めます。
かんたんな点検方法として、シフトアップしてクラッチを繋いだ時に回転数の落ち方が遅かったり、高いギアでアクセルを踏み込んだ時に、エンジン回転だけ上がるような動きがみられる場合は、クラッチの摩耗が進んでいる場合が多いです。
スムーズにシフトチェンジができるか
シフトチェンジしたときに引っ掛かりがなく動かせるかどうか確認しましょう。
ミッション内部が傷んでいる場合、『ガリガリ』と音が出たり、なかなか次のギアに入らなかったりという症状が出ます。
異音や変な振動がないか
先程のポイントに加えて明らかな異音や振動が出ていないか確認しましょう。
ATと比べるとシンプルな機構の為、ミッション本体からの異音や振動が出ている場合は重症の可能性が高いです。
ミッションのオイル漏れがないか
AT車同様、ミッションのオイル漏れを確認しましょう。
油脂類の交換履歴の確認
MT車で確認すべき油脂類は
・ミッションオイル
・クラッチフルード
以上の2種類です。
ミッションオイルは、ミッション本体に入っているオイルのことで、それぞれのギアを潤滑しているものです。
メーカーによっては無交換のものもありますが、4万キロほどで交換指定がされている車種が多いです。
AT車ほどシビアではありませんが、長く乗りたい場合は、履歴を確認しておきましょう。
クラッチフルードは、クラッチペダルを踏む力をクラッチへ伝える液体です。
水分を吸収しやすい特徴があり、車検毎に交換してあることが望ましいです。
長期間交換されていない場合、水分による錆でクラッチを動かす為のシリンダーが傷んでしまい、クラッチが切れないなどの故障につながります。
保証制度を確認しましょう
これらのミッション関係の故障は、どれも数万円~数十万円の高額修理になってしまう場合が多いです。
せっかく車を買ったのに、いきなり故障して高額修理となってしまっては目も当てられません。
そこで確認しておきたいのが保証制度です。
新車から5年以内の場合はメーカー保証が残っている場合があります。
トランスミッションの故障は国産メーカーの場合は5年10万キロの保証がついていることがほとんどの為、この期間での故障は無償で修理してもらえる場合があります。
ただし、クラッチに関しては消耗品扱いの為、対象外になります。
メーカー保証が切れている車の場合でも、中古車販売店独自の保証制度を設定しているお店もあります。
万が一の際に非常に助けられる制度になりますので、しっかりと内容を確認するようにしましょう。
個人売買などで購入した車の場合
一点注意したいのが、オークションサイトやフリマサイト経由で個人売買をするときです。
基本的に、個人間の売買はすべて自己責任の取引になることがほとんどです。
そのため、車の状態や故障などもそのままの状態で引渡しとなるため、購入してすぐに高額修理となってしまう場合があります。
このような事態を防ぐためにおすすめなのが、個人売買向けオートローンの「ユーカーネクスト」です。
個人売買の車両でも「最長10年の中古車保証」を付けることができて、名義変更や相手への送金手続きなども完全にサポートしてもらえます。
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車の個人売買を検討している方は、合わせてユーカーネクストの利用も検討してみてください。
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まとめ
中古車は新車と違い、外観では判断出来ない故障などが隠れている場合があります。
予備知識をつけて、購入前にしっかりと車の状態をチェックすることで、ある程度のトラブルは避けることが出来ます。
また、今回ご紹介した保証制度や、「ユーカーネクスト」を利用することで、万が一トラブルが発生したとしても、金銭面の心配をすることなく、欲しかった車を思う存分楽しむこともできます。
ぜひ、今回の記事を中古車購入の参考にしてみてはいかがでしょうか。
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