中古車の購入を検討する方の多くは「できるだけ質の良い車を手に入れたい」と考えるのではないでしょうか。
良質な中古車を購入するためには、板金や補修の有無を確認することが大切なポイントとなります。
とはいえ販売店に並ぶ中古車はどれもキレイに手入れされており、どの車が良いのか見分けるのは難しいものです。
また個人売買で中古車の購入を検討している場合、高く車を売るために売り手が故意に板金や補修を隠すケースも少なくないため、自分で車の状態を判断する必要があります。
本記事では良質な中古車を見つけたい方に向けて、中古車を選ぶ際に注意してほしい板金・補修の見分け方や、注意しなければいけない理由をご紹介します。
中古車の購入を後悔しないためにもぜひ参考にしてください。
中古車を選ぶときは板金や補修の有無を確認しよう
なぜ中古車選びで板金・補修の有無を確認する必要があるのでしょうか。
その理由としては次の2つが挙げられます。
・板金や補修を隠し相場より高い価格を設定している可能性がある
・事故歴を隠している可能性がある
まずは板金・補修歴を確認してほしい理由について詳しくご紹介します。
板金や補修を隠し相場より高い価格を設定している可能性がある
板金・補修をしたことがある車は純正のままの車と比べ、相場が安くなります。
売り手は販売店であろうと個人であろうと、できるだけ高く売りたいと考えるものなので、価格を下げる原因となるような板金・補修歴を故意に隠すケースが少なくありません。
板金や補修に気が付かなければ、相場よりも高い金額で車を購入してしまう可能性があります。損をしないためにも購入前にはしっかりと車両の状態を確認するようにしましょう。
修復歴を隠している可能性がある
中古車業界では、骨格に影響がでるほどの衝撃を受けたことがある車を「修復歴車」と呼びます。
修復歴がある車を販売する際にはその旨を表示することが義務付けられていますが、修復歴がない車と比べると3割程度相場が安くなってしまうため、中にはキレイに損傷個所を直し、修復歴を隠す業者や個人も。
いくら見た目が治っていても、大きな損傷を受けたことがある車は内部に影響が残っている可能性が否定できません。
修復歴があることを納得した上で通常より安く車を購入する分には問題ありませんが、修復歴を故意に隠されている場合には、自分で見分ける必要があります。
修復歴を見分けるには、板金や補修の有無を確認する方法が有効です。
修理の跡を少しも残さずに車を元通りにすることはできませんので、これからご紹介するチェックポイントを確認し、知らず知らずのうちに修復歴車を購入してしまうことを防ぎましょう。
板金・補修の有無を見分ける方法
板金や補修の有無はプロの目で見ればすぐ見分けることができますが、外観はキレイに修理されていることが多いため、一般の方の場合はなかなか判断が難しいものです。
ここからは具体的にどのように車を確認すれば、板金や補修を見分けることができるのかを解説します。
中古車といえど、車は高額商品です。確認方法を知ることで良質な中古車を手に入れましょう。
板金の有無の確認方法
板金をしたことがあるかどうかは、次の方法で見分けることができます。
・塗装面に光を当てる
・塗装ムラや色の違いを確認する
・ゴミ噛みがないか確認する
・反射する景色を確認する
・手で塗装面を触る
・ドアやボンネットの内側を確認する
ここからは具体的なチェック方法をご紹介します。
塗装面に光を当てる
目視するだけではなかなか分かりにくいですが、ペンライトなどで光を当てると、塗装面の微妙な違いが判別しやすくなります。
可能であれば日の光に影響されない室内で蛍光灯やLED等の光を当ててみてください。
一部だけ塗装面に違いがある場合、板金されている可能性があります。
また、板金はドアやバンパーなどパーツごと行うケースも多いので、他のパーツの塗装面との違いがないかも確認することをおすすめします。
離れた位置から塗装ムラや色の違いを確認する
板金をすると、どれだけ純正の色に近いものを使用したとしても、多少の違いがでてしまう物です。
板金がされているかどうかは近距離では分かりにくいことがありますので、車両から少し離れて確認してみましょう。
またボディを正面に見るのではなく、斜めや横から見るのも有効です。
正面からでは気が付かなかった塗装の盛り上がりやタッチの違いがあれば板金がされている可能性が高くなります。
オーロラと呼ばれる補修後の磨きのムラなども補修パネルを見分ける際に参考になります。
ゴミ噛みがないか確認する
板金を請け負う業者の中には外で作業をする業者も存在します。
屋外で塗装の塗りなおしを行うと、空気中のホコリやゴミを巻き込んでしまうことがあり、ゴミ噛みが発生します。
新車の塗装は工場内で行われるため、ゴミ噛みがある場合は購入後に再塗装された可能性が高いと考えて良いでしょう。
反射する景色を確認する
キレイに磨き上げられた車には周りの景色が写りこみます。
ボディ自体の凹凸がない部分でで写りこんだ景色に歪みやズレが発生している場合には、塗装面に凹凸ができていることが考えられるため、純正ではない可能性が高いです。
ホワイトやグレーなど薄い色の車だと、写りこんだ景色で見分けることが難しいですが、黒など濃い色の車であれば、歪みをはっきりと確認することができます。
手で塗装面を触る
新車の塗装は引っ掛かりがなく、つるつるとしていますが、板金を行った車は塗装ムラやゴミ噛みが原因でざらざらとした感触になる場合があります。
目で見ただけでは分からないケースも多いため、ボディー表面を触って確認してみましょう。
また塗装が垂れた跡や部分的な盛り上がりがある場合も板金の可能性が高くなります。
ドアやボンネットの内側を確認する
目で見える場所はまるで純正の塗装のようにキレイに仕上がっている車も多いですが、内側を確認すると色ムラが確認できるケースがあります。
ドアやボンネット、トランクを開けてパーツの内側やふちを確認してみてください。
二重に塗装された跡や色の違いがあれば、板金されている可能性があります。
補修の有無の確認方法
良質な中古車を手に入れるためには、板金だけでなく補修の有無を確認する必要があります。
補修がされている車かどうかは次の方法で確認が可能です。
・点検記録簿を確認する
・ボルトの取り外し跡を確認する
・フレームに歪みがないか確認する
・パーツのチリやズレを確認する
・左右対称になっているかを確認する
・床に歪みがないか確認する
それぞれの方法について詳しく解説しますので、中古車を選ぶ際の参考にしてください。
車両査定表を確認する
補修歴を知る上で一番簡単な方法は「車両査定表の確認」です。
車両査定表はこれまでに行ってきた修理歴や修復跡、交換したパネルや部品が記されており、どんな修理を受けてきたかが分かるもので、補修を行った場合には内容が記録されています。
しかし車両査定表は全ての中古車に必ずあるわけではありません。
一度も査定した事のない車両の場合もそうですが、不利になる情報と分かっていて、あえて提示しない可能性もゼロではありません。
そのため車両査定表や補修の記録がない場合、中古車査定協会やお近くの販売店等で車両査定を行ってみるのも良いかもしれません。査定が難しい場合、他の方法でも修復状態の確認を行っていきましょう。
ボルトの取り外し跡を確認する
補修の有無を確認するためには、パーツが取り外された形跡があるかどうかを確認する方法が有効です。
車が大きな損傷を受けた場合、パーツを取り外して修理したり、新しいものに交換する必要があります。
一度パーツを取り外せばボルトに多少のこすれやつぶれが発生しますので、ドアやボンネットを開けてボルトを確認してみてください。
ボルトの上から塗られている塗装の剥がれやネジ山のつぶれが確認できる場合、そのパーツは補修や取外し交換された可能性があります。
フレームに歪みがないか確認する
フレームとは車の骨格にあたる部分です。事故で大きな損傷を受けた場合、パーツを取り換えれば見た目をキレイに直すことができますが、フレームに受けたダメージは完全に直すことができません。
補修歴を確認する場合には、車のフレームを確認してみてください。フレームに歪みや傾きなど何らかの影響があるにもかかわらず、外側についているパーツがキレイな場合は損傷を受けた後に交換された可能性が高いです。
また、万が一骨格部分に損傷がある場合やフレームを溶接修正している場合、その車は「修復歴車」として扱われます。
修復歴がある車は売却時に値段がつきにくくなったり、車自体に影響が出ている可能性も否定できないため、注意して確認するようにしてください。
パーツのズレを確認する
新車の場合、ドアとフレームなど隣り合うパーツの隙間はどこを見ても均等になっていますが、外部から衝撃を受けた車はパーツがズレていることがあります。
補修歴を確認するためには、パーツ同士の隙間に大きさの違いやズレがないかを確認してみてください。
左右対称になっているかを確認する
基本的に車は左右対称になるように作られています。そのため車の正面や後方を少し離れた位置から確認した際に、非対称になっている場所があれば、何らかの衝撃を受けたことが考えられます。
左右非対称になるほどの衝撃を受けたにもかかわらず、見た目がキレイならば修理やパーツ交換をした可能性が高くなります。
近距離で見るだけでなく、離れた位置からも車両を確認するようにしましょう。
床に歪みがないか確認する
後方から衝突された場合、車の床下に歪みが発生します。
トランクを開けて、可能であれば床に敷かれているシートを剥がして確認してみてください。
難しい場合は車の下に潜り込んで確認することも可能です。もし床にシワや波打ちがあれば、後方から衝撃を受けた可能性が高くなります。
床に歪みがあるのにトランクやボンネットに損傷がなければ、修理をしたことが考えられるでしょう。
板金・補修有の車を購入するデメリット
板金や補修歴がある車には次のようなデメリットがあります。
・強度が落ちている
・塗装が劣化しやすい
・故障のリスクが高い
・修理費用がかさむ
・売却価格に影響がある
強度が落ちている
板金や補修は事故などで受けた損傷を治すために行われるケースが多く、大きな損傷を受けたことがある車は、そうでない車と比べ強度が落ちている可能性があるため、安全性の面で不安があります。
また、補修の範囲にもよりますが、板金や補修を行う場合にはパーツを取り外して作業を行うことが多く、パーツの取り外しで、ボルトや接続部分が摩耗する可能性も。
強度がどの程度落ちてしまっているかは、見た目で判断することができないため、板金や補修の形跡がある車は避けたほうが安心でしょう。
塗装が劣化しやすい
板金をする場合には塗装の盛り上がりやムラを防ぐため、純正の塗装やついてしまったキズを削り落としてから塗りなおしを行います。
そのためボディやもともとの塗装との間に小さな隙間ができてしまい、サビや剥がれの原因になることも。また時間が経つにつれ、純正の塗装面と後から塗装をした箇所とで色ムラが起こる場合もあります。
購入時はキレイでも純正と比べ塗装が劣化しやすいため、長くキレイに車に乗りたいと考えている方は、板金の形跡がある車はおすすめできません。
故障のリスクが高い
「強度が落ちている」の項目でもお伝えしましたが、板金・補修歴がある車は、事故などで大きな衝撃を受け、損傷箇所を修理した可能性があります。
その際の影響が車の内部に残っていれば、故障のリスクが高まることも。中古車はいつトラブルが起こってもおかしくないものではありますが、故障のリスクを下げるためには板金や補修のない車を選んだほうがいいでしょう。
修理費用がかさむ
板金・補修歴がある車は、故障のリスクが高いため、修理や部品の交換に費用がかかります。
板金や補修を受けたことがある車は、そうでない車と比べ2~3割程度安く購入することができますが、購入後の修理にお金がかかれば、補修歴がない車を購入するよりも最終的な支払額が高額になる可能性も。
どのタイミングでどの程度の不具合が発生するかを判断することはできませんが、余分な出費を抑えるためにはダメージを受けた可能性がある車は避けることをおすすめします。
売却価格に影響がある
板金や補修をしたことがある車は、そうでない車と比べ取引価格が低くなる傾向があります。
そのため購入した車を売りに出す際に、相場よりも安い金額しかつかない可能性が高いです。
定期的に車の乗り換えを検討しているのであれば、売るときのことも考え、板金や修復歴のない車を選んだほうがいいでしょう。
次は、修復してあるとわかった板金について、良い板金か悪い板金かを見極める方法について見ていきましょう!!
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