ここ数年、日本は異常気象と言われており、台風やゲリラ豪雨など数年前では考えられないような量の雨が降ることが多くなりました。
そのため、道路や河川の排水が間に合わず、川の氾濫や道路の水没などが度々ニュースになっています。
運悪く豪雨被害を受けてしまった車はあえなく水没してしまい、廃車となってしまう場合も少なくありません。
しかし、これらの車は水が乾いてしまえば見た目はキレイなままなので、中古車として店頭に並んでいたとしても、一目見ただけでは判断がつかないのがほとんどです。
また、見た目で判断がつかないものの一つに錆があります。
これらの錆は外側からは見えないことが多く、後々不具合の原因となってしまう場合があります。
では、実際に中古車を買う際に、錆の状態や水没車かどうかはどのように見分ければよいでしょうか。
今回は、中古車を選ぶ上での錆の程度や水没車の注意点と見分け方を解説します。
車が錆びる原因は?
通常、自動車には塗装が施されておりボディの鉄板を保護しているため、数年程度ではほとんど錆びることはありません。
新車の保証で表面錆は3年、穴開きについては5年までメーカーが保証しているほど品質の高い塗装が施されています。
車に錆が発生する原因はほとんどが外部要因で、主に以下の3つが挙げられます。
・傷や飛び石
・海水や融雪剤の付着
・鉄粉の付着
ここではそれぞれの要因について詳しく解説します。
傷や飛び石
車を擦ったりぶつけてしまって、ボディの金属部分が露出した場所をそのまま放置してしまうと、その部分から錆が発生してしまいます。特に車をどこにもぶつけていなくとも、走行中の飛び石などで気づかないうちに塗装が剝がれていて、そこから錆が進行する場合もあります。車をぶつけてしまった場合や飛び石傷を発見した場合は、早めに補修塗装を施すようにしましょう。
海水や融雪剤の付着
『雪国を走っていた車は錆が出やすい』という話を聞いたことある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この原因は、冬に路面に散布される融雪剤にあります。
主成分はいわゆる『塩』で、水と混ざることで凍結する温度を下げてアイスバーンになることを防いでいます。
このため、冬季はどうしても融雪剤の上を走行することになるので、タイヤで巻き上げた融雪剤がボディに付着します。
しっかり洗車をしていたとしても、手の届かない場所に融雪剤が残っていたりして、そこから錆が発生してしまう場合があります。
また、海沿いの地域で潮風が当たる場所に車が置かれていた場合も、塩分を含んだ海風により、海水をダイレクトに浴びていることに近い状態となるので、こちらも錆発生の原因になってしまいます。
鉄粉の付着
線路沿いなどに停めていた車は、電車が通るたびに車輪が削れた鉄粉を知らないうちに浴びており、その鉄粉が錆びることで車側も錆が発生してしまう場合があります。
このような場合は、車の前方後方への鉄粉の付着だけでなく、側面にもついていることが考えられるため、全体的に鉄粉の付着のある車両の場合は注意しましょう。
クルマの錆が進行することによるデメリット
車に錆が発生することで、見た目が悪化するだけならまだ良いのですが、部品が錆で固着して取外し不可能となった場合、整備費用が大幅に上がってしまう可能性があります。
最悪の場合、ボディに穴が開いて取り付け部から部品が脱落するといった事故の原因になる可能性があるので、注意が必要です。
中古車の錆の状況を確認するポイント
このように数々のデメリットがある錆ですが、中古車を選ぶ際に確認しておきたいポイントを解説します。
前オーナーの使用地域は?
まずはお店の方に、車の仕入地域を確認しておきましょう。
降雪地域から仕入をした車の場合、車体に融雪剤の影響が出ている可能性が高くなります。
海沿いの地域・離島から仕入れをした車の場合、塩の影響で錆が出ている可能性が高くなります。
ホイール・ブレーキ
引用:https://proshop-kurumakan.com/
融雪剤の影響を一番受けやすいのが、ホイールやブレーキ周りなどの回転する部品です。
アルミホイールも融雪剤によって錆が発生します。
表面に白い錆が浮いて塗装が剝がれていたりする場合はかなり腐食が進んでいると考えて良いでしょう。
最悪の場合、タイヤとの接触面が荒れてしまい、エア漏れの原因となる場合があります。
足回り・マフラー
引用:https://bestcarweb.jp/
タイヤによって跳ね上げられた融雪剤が足回りやマフラーに付着して、徐々に錆が進行していきます。
こまめに高圧洗浄機などで足回りを洗っていた車などは比較的進行が遅い傾向にありますが、どうしても落としきれない部分が出てくるため、その部分から錆が発生します。
また、下回りを全面防錆塗装している車両は、一見しっかり対策が取られているように見えますが、錆の上から施工されてしまっている場合があり、内側で錆が進行している車両もあるため、注意が必要です。
エンジンルーム
引用:https://tempa.co.jp/
融雪剤を巻かれた高速道路をよく走っていた車の場合、走行風でエンジンルームの内側に融雪剤が付着して、内部で錆が発生している場合があります。
エンジンルーム内に錆が発生している車の場合、概ね下回りも同様に錆が発生している傾向にありますので、注意して確認が必要です。
リアフェンダー
リアフェンダーの錆も気を付けなければならないポイントです。
リアフェンダーは強度を出すために、縁がL字型に曲がっていることがほとんどで、この内側に融雪剤や泥が溜まっていき、最終的に内側から錆びて穴が開いてしまう場合があります。
洗車時もほとんど手をかけない場所ですので、気がつかない内に錆が進行しているケースがあります。
水没車(冠水車)の定義は?
水没車の定義は具体的に基準が定められています。
日本自動車査定協会の基準では、『フロア以上に浸水した車、または浸水の痕跡が複数確認できる車』と定義されています。つまり、室内に水が浸水してしまった車は『水没車』という定義になり、浸水した水位が上がるほどに買取価格が下がっていきます。このため、市場に出ている水没車は、キレイに見えますがかなり安い値段で売られていることが多く、一見お得な車に見えます。しかし、水没車には安いなりの理由があり、多くのデメリットがありますので、その点も含めて解説していきます。
水没車(冠水車)の表示義務
修復歴あり・なし等と違い、水没車には表示義務が存在しません。
そのため、店頭でのプライスボードだけではその車が水没車かどうか判別することは難しいです。
事故や修復歴もなく、過走行でもないのに相場より明らかに安い車体はそれなりの理由がありますので、お店の方に聞いてみるようにしましょう。
また、近年この水没車に関するトラブルが増加しており、自動車公正取引協議会が以下のような注意喚起を出しています。
https://www.aftc.or.jp/content/files/am/shohisha/info_202012.pdf
無いとは思いますが、購入した後に水没車であることが判明した場合、契約の取り消しを求めることができます。
水没車のデメリット
水没車のデメリットは、主に以下の3つに分けられます。
この中でも一番気を付けなければならないのが予期せぬ高額修理でしょう。
近年の車は電装品が非常に多くなってきており、浸水によって故障した場合、影響が多岐にわたる可能性があります。
車内の汚れ・悪臭
一度車内に浸水してしまうと、内張やカーペットに水がしみ込んでしまい、完全には乾きません。
そのため、そこからカビや雑菌が繫殖することで、ドブのような悪臭が発生します。
原因を完全に取り除かないと臭いは取れないため、ずっと悪臭と戦うことになります。
また、湿気によって窓の内側が非常に曇りやすくなっているのも特徴です。
晴れの日にもかかわらず、窓が曇る場合などは、水没車の疑いがあります。
電気系統の予期せぬ高額修理
室内まで浸水してしまった車は、内部に取り付けられているコントロールユニットや配線の中に水分が侵入している可能性があります。
これらの水分は一度入ってしまうと完全に乾燥させることは難しく、この水分が原因で電気部品の誤作動や漏電などの症状が出る場合があります。
見た目では全く異常がないため、故障診断して原因を特定することも困難となり、完全に修理するためには、すべてのユニットを交換しなければならない場合もあります。
特に海水に浸かってしまった場合などは、漏電しやすくなりショートによって火災が発生する場合もあります。
売却時に値段がつかない
このように、水没車には非常にデメリットが多く、市場での価値はほぼ無いと言っても過言ではありません。
そのため、購入時に安く買えて不具合無く乗れていたとしても、売却時にはほとんど値段がつくことは無いと思っていたほうが良いでしょう。
水没車(冠水車)を見分けるポイント
前述の通り、水没車には表示義務がありません。
そのため、購入前に水没車でないかどうかはしっかりと見分けたいところです。
ここでは、水没車かどうか見分けるためのチェックポイントを解説します。
取扱説明書等の書類の状態
グローブボックスに格納されている書類や取扱説明書が、水で濡れた形跡がないかどうか確認しましょう。
もし濡れた形跡がある場合は、グローブボックス部分まで水に浸かった可能性があることを示しています。
窓ガラスの曇り
浸水した車の場合、夏などの気温の高い日などに窓ガラスの内側が曇るという特徴があります。
これは、車内の水分を完全に取り除くことは難しく、車内の温度が上がることで水分が蒸発して窓ガラスに曇りとなって現れることが原因です。
晴れている日なのに不自然に窓ガラスが曇っている場合は、その車は水没車である可能性があります。
シートベルトの状態
水没車の場合、フロア上まで水が浸水していますので、フロアマットやその下のカーペットに水が染み込んでいる場合があります。
販売の際、これらは洗浄・交換されていることが多い為、痕跡がわからない場合があります。
シートベルトの変色は洗浄してもなかなか戻らないことが多く、シートベルトを最後まで引き出したときに、隠れていた場所に茶色い変色などが見られた場合は、水没車の可能性があります。
シートレールの錆・汚れ
シートレールはシートとフロアを固定している部品です。
フロアに一番近い部分にある部品なので、水没車の場合は必ず水がかかっています。
レールそのものは塗装がされているので錆びることは少ないですが、ボルトは塗装されていないので水に濡れてしまうと錆が発生します。
このシートレールを固定しているボルトの錆と、レールの中に泥や砂などの汚れが溜まっていないかどうか確認と、シート座面の裏側(下からのぞき込む)の錆の状況を確認するようにしましょう。
エアコンからの臭い
一度エアコン部品が水に浸かってしまうと、そこからカビが発生しやすくなります。
車内の見える部分や内張りなどは清掃や交換することで元に戻せますが、エアコンのダクト内は複雑に入り組んでいて、完全に水分や泥を取り除くことは難しく、そこからカビが発生したり泥から雑菌が発生して臭いの原因になります。
エアコンをつけたときに明らかにドブ臭い場合、カビ臭がひどい場合は、水没車の疑いがあります。
トランクルームの汚れ
販売の際に必ず見られる室内は、フロアマットやカーペットの交換、内張りの交換など、出来るところで処置がされている場合が多いのですが、トランクルームはないがしろになっている場合多く、室内ほど手を掛けられていない場合があります。
また、トランクルームにはジャッキや車載工具などが搭載されていることが多く、これらが錆びている場合などは、トランクルームが浸水していた可能性があります。
まとめ
中古車を選ぶ上で特に注意しておきたい車体の錆や水没車。
いずれも、外側の見た目で判断することは難しく、車体の下回りや部品を外してみないと現在の状態が確認できないケースがほとんどです。
中古車販売店経由での売買であれば、展示されている車についてはしっかりと説明をしてくれますし、お願いすれば下回りを見せてくれるお店もあります。
仮に水没車と知らされずに車を購入してしまった場合でも、不当表示にあたりますので、購入者は契約を解除できる権利を持っています。
しかし、最近はオークションサイトやフリマサイトなどを介して、直接車を個人売買するケースが増えてきています。
この場合は、お互い個人同士で取引を行うことになりますので、車の状態を詳しく確認することが難しかったり、万が一購入後に不具合が発覚した場合でも、自腹で修理となる場合も珍しくありません。
このように、車の個人売買を行う際は、車両トラブルや数々の手続き、さらには金銭トラブルなど、販売店のサポートが得られないのであらゆる方面に気を遣う必要があることも事実です。
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