自動車用品ショップ・ガソリンスタンド・自動車販売店で展開されるボディーコートは、コーティングと言っても多種多様です。様々なメーカーから多くの種類・性質のものが販売されており、それぞれの製品ごとに相異なる持ち味を持っています。
このコンテンツではコーティングやボディーケアについての基礎知識をご紹介していきます。
ボディーコートの効き目と良い点
ボディーコートは、車の塗装の上に油脂や樹脂、ガラスなどの素材で塗装を守る被膜を作る事です。
塗装されたままのボディーはキズや汚れが付着しやすく、紫外線や酸性雨などの外部要因の影響を受け塗装が劣化する場合があります。
ボディーに形成された保護被膜が外部からの不都合を代わりに受ける事で、車の塗装に直にダメージを与えず美しい状態での保持が可能となります。
撥水コートと親水コートの相違点
ボディーコートには、水滴の弾き方違いで撥水コートと親水コートの2種類があります。
言葉の通り撥水コートは水滴が「球になって転がり落ちる」特性があり、親水コートは水滴が「流れ落ちる」特徴があります。
撥水コートは水滴が球になって転がるため、コートの具合を目で見て確認できて好評ですが、車の部位によっては水が溜まり、その水が乾いて水垢やウオータースポットと呼ばれる雨染みになる事があります。
親水コートは水がボディーに沿って流れ落ちるため水垢になり難く、雨染みや水垢が目立つ黒など濃色の車や洗車の回数が少ないと言うオーナー向けと言えます。
ボディーコートの分類と持ち味の違い
ボディーコートは、4種類に大きく分類されます。
それぞれの成分や、持ち味が異なります。
油脂系コート
油脂系コートは既存のワックスの事で、低価格入手が楽で施工しやすいと言う利点がありますが、単純に艶出しを目的としているため傷や汚れの防御力や、耐久力が低く水の影響を受けるため、雨に見舞われるたびにワックスを施工し直す必要があります。
ワックスの施工を繰り返す事で、逆に染みやワックスのムラが目立つ事もあって、ワックスを綺麗に落とす作業が必要になる事があるので要注意です。
樹脂系コート
樹脂系コートは、有機化合物であるシリコンやフッ素、テフロンと言ったポリマーが主な原料で、ボディーに定着する時に分子同士が結合する化学反応によって車の塗装の上に作られた強い被膜が、煤煙や油などの外部要因、泥汚れや水垢、傷からボディーを守る効果を持っています。
塗装に出来た微細な傷を埋めて艶が復活するので、ボディーが新車時と同じくらいに戻るという期待が可能です。
ポリマー系ボディーコートを行うと水垢などの汚れが付き難くなり、水洗いだけでも必要な管理ができます。
油脂系コートに対して耐久力を持っていますが、紫外線や酸性雨などの外部要因で効果が持続するのは少し短くなります。
ガラス系コート
ガラス系コートとは、ガラスの構成物が一部だけ含まれているボディーコートの事で耐久力があり、ガラス系の被膜がボディーの劣化や傷を防ぐ効果が期待できます。
油脂系や樹脂系よりも艶がナチュラルで、効果が半年ほどは続く事が利点です。
ガラス系コートは市販のコート剤を購しオーナー自身で施工する事が出来ますが、製品によってはガラス成分の含有量が少なく、思うような効果が得られない場合もあります。
ガラス系コート剤をオーナーが選択するなら、ガラス成分がどれくらい含まれているかを見定めると良いでしょう。
ガラスコート
ガラスコートは、ガラスの構成物を持ったコートで、ボディーの塗装面から剥がれにくい密の高い被膜が作られます。
カーコートの中でも高い強度を持っていて、施工を専門業者に依頼する場合は車の大きさやタイプにより異なり数万円~10数万円と高額となりますが、様々な外部要因から車の塗装を守ってくれるので金額に見合う物はあります。
ガラスコートの基本
ガラスコートの効果や良い点・悪い点、寿命、施工する機会など、ガラスコートについて紐解きます。
ガラスコートの効果と良い点
ガラスコートは車の塗装の上に薄く強固なガラスの層を作ることで、他のコートよりも強度が強く洗車時に付く傷や走行して付いた泥、埃などの汚れ、紫外線、酸性雨からの悪影響を最小限に留める効果があります。
水を寄せ付けない効果が高く雨染みができにくく汚れが付いても落ちやすくなり、洗車を短時間で済ませられるという利点もあり、車の塗装を傷める外部要因からボディーコートがガードしてくれる魅力があります。
ガラスコートの欠点と悪い点
ガラスコートの施工は専門業者に依頼する事が通常で、車の大きさやセダン、SUVと言った車のタイプによって施工する費用が異なり、より強度が高い2層など複層構造のコートでは高額となり、その費用を悪い点と感じる方もいます。
専門店でガラスコートをする場合は、数日程度は車を業者に預ける必要があるため、通勤などで毎日車に乗る必要がある方はガラスコートを依頼する事を躊躇する場合も考えられます。
ガラスコートの耐久力と耐久年数
ガラスコートの耐久力、耐久年数は一般的に3~5年といわれていますが、紫外線や青空駐車など駐車場所のロケーションでボディーコートが劣化し耐久力や耐久年数が縮まる事も考えられます。
ガラスコートの劣化を遅らせガラスコートの耐久力や耐久年数を伸ばすために、定期的にメンテナンスを行う必要があります。
「〇年メンテナンス不要」と謳っているケースがありますが、何もしなくて良いと言う訳ではなく、ガラスコートは車に付いた汚れを落ちやすい状態にしてくれますが、車が汚れないと言う事ではありませんので要注意です。
ガラスコートに油分が付いた場合は、撥水性が下がり、艶が無くなった様に見える場合があります。
定期的なメンテナンスが不要とは、ワックスがけなどが不必要と言う事で、雨降り後など車が汚れたら早めに洗車する事をおススメします。
ガラスコートとガラス系コートの違い
ガラス成分をベースとしたボディーコート剤で行われたガラスコートとは違って、ガラス系コート剤は樹脂系コート剤の中に少量のガラス成分が含まれていて、ガラス成分が少ない事からガラスコートよりも持続力が低く、コートの持続が半年~1年程度となっていてコートの硬さも低いため、傷への持続性も弱くなります。
ガラス系コートは、ガラスコートよりも安価であるためで自動車販売店やサービスステーションで広く用いられている方法ですが、再コートが必要になるため長期的には費用がかかる場合があります。
ガラスコートを行う時期
車にガラスコートを施工する最適な時期は、新車を購入した時です。
新車の塗装面はボディーコート施工前の下地やボディーの修復を必要最小限にでき、費用が安くなる場合があります。
ガラスコートの寿命は一般的に3~5年であることから、車検整備を行う時に同時にボディーコートを行う事で長く車の塗装を新車の時に近い状態で保つ事が可能です。
新車を購入した時にボディーコートを行っていないオーナーや中古車を購入したオーナーが、ボディーコートを施せないと言う事ではありません。
塗装にできた細かい傷や雨染みなどのボディーの傷んだ部分を取り除き、下地処理をキチンと行ってからボディーコートを施す事で、新車の時のような艶を取り戻す事が可能です。
新車購入時より費用が掛かるケースがありますが、ガラスコートは必要と思われる時期に行うと良いでしょう。
ガラスコートでボディーの傷は消えるか
車体に出来た細かい傷にボディーコート剤が入り込む事で、ボディーの凸凹が埋まり平らになって光の加減で傷が見えにくくなる事があり、ガラスコートでボディーの傷が無くなった様に見える事がありますが、それはごく小さな傷に限られ、塗装の下地まで達する様な深い傷は、ガラスコートでも無くす事や修復や修正する事が出来ないので要注意です。
ガラスコート業者のタイプと持ち味
ガラスコートを行う業者を選ぶにあたって、それぞれに持ち味が異なるため、業者を選ぶ前に把握しておくと良いでしょう。
ボディーコート専門店
ボディーコートを専門に扱う業者で、特にガラスコートを得意としている事が多く、ガラス被膜の作り方や強さ、持続性、持続期間からコートの方法、種類を選択できる特徴があります。
専門店が持つノウハウで、美しい艶と強度を持ったボディーコートが行われます。
洗車を行いボディーの塗装状態のチェックなどのメンテナンスや点検を扱っている業者もあり、ボディーコートを美しいコンディションで長期的に保ちたい、メンテナンスを自身で行う手間を省きたい方はボディーコート専門店に依頼すると良いでしょう。
自動車販売店
自動車販売店では、新車を購入した時に販売店オプションとしてボディーコートを行う事ができます。
ボディーコートが終わった状態で納車されるので、ボディーコート業者を探して依頼し入庫する手間や、作業が終わるまで車を預ける必要もありませんが、自動車販売店は樹脂系コートやガラス系コートなどの汎用のボディーコートが多いので、ボディーコートのタイプを販売店で事前に確認すると良いでしょう。
板金・塗装業者
事故による傷やヘコミの修理を行う板金・塗装業者の中にガラスコートが出来る工場があり、塗装のプロによる信頼性の高い下地処理とボディーコートの技量が大きな魅力です。
コート剤の種類や形成される被膜、強さなどの条件はボディーコート専門とほぼ変わらないもと言って良く、ボディーコート専門店と変わらない高い結果が見込めます。
サービスステーション
規模が比較的大きなサービスステーションでは、ガラスコートを請け負う店舗があります。
大手チェーンのサービスステーションは、ボディーコートの社内専門資格を持つスタッフが施工を行うのでボディーコート専門業者に近い仕上がりが期待できます。
ご自宅の周辺にボディーコート専門店が見当たらず、ボディーコートを行えるサービスステーションがある場合はサービスステーションに依頼する事がおススメです。
ガラスコートの料金
ガラスコートを専門店で行うと、車格によって料金が変動するのが一般的です。
ガラスコートは、どのくらいの料金で日数がかかるのかを予め業者に必ず確認する様にしてください。
ガラスコートの保証
ガラスコートの専門店や自動車販売店では、「何年間保証」と言う事を謳っている場合があり、ボディーコートの被膜がボディーで保持される期間の保証、ボディーの光沢の保証がガラスコートの主な保証内容です。
ボディーコートが落ちてしまったり光沢度が失われたりすると、ボディーコートが再施工される場合があるので保証は付いていた方がより安心ですが、保証には詳細な条件が設定されている事も珍しくないので、ボディーコートを行う前の確認がおススメです。
ガラスコートを専門店で行う場合の良い点
ガラスコートをオーナー自身で施工する事も可能ですが、鉄粉除去、脱脂、施工ムラなど初心者にはハードルが高いモノで、大きな車体の車ではさらに手間がかかります。
ボディーコートの専門店は、ボディーの目に付きにくい所まで美しく仕上がります。
費用が高額になりますが、品質の高いコーティングを望むのであれば専門業者に依頼する事がおススメです。
ガラスコートをした後の洗車、管理、手入れの仕方
ガラスコートを行っても、ボディーコートを保持させるために水垢や埃、泥と言った汚れを洗車して落とす必要があります。
ガラスコートをした車の洗車の頻度
ガラスコート後は、1週間~2週間に1回程度の洗車をおススメします。
ボディーコートにも汚れや水垢が付くので、ボディーが汚れたら洗車する事が重要で、
水分や泥が付着する雨天時や降雪時に走行した
塩害による錆の発生が懸念されるため海に行った日や潮風に当たった
融雪剤の成分によって塩害となる場合があるため融雪剤を撒いた道路を走行した
強酸性の鳥の糞は、付いたままにするとコーティングからボディーに悪影響を及ぼすため鳥糞が付着した時は、出来るだけ早く洗車し汚れを落とす事がおススメとなります。
ガラスコートをした車の洗車方法
ガラスコートを施工後の洗車は手洗いが原則で、ガラス被膜を傷つけない手順で洗車すると良いでしょう。
ボディーの汚れをホースを使い水で流す
研磨剤を使っていないカーシャンプーをバケツに汲んだ水に入れて泡立てる
シャンプー液をマイクロファイバークロスに染み込ませ、力を入れずに上から下へなで洗いする
残ったシャンプー液を水で洗い流す
乾いたマイクロファイバークロスで水気を拭き取る
汚れの度合いが少なければ軽い力で汚れが落ちるので短時間で洗車が終了しますが、炎天下で洗車をした場合はシャンプーの泡や水が拭き取られる前に乾燥して、水垢が残る場合があります。
洗車は曇りの日や日差しが弱い朝や夕方で、風の弱い日が適します。
ガラスコートを長持ちさせ、持続させるには
ボディーに傷つけずに洗える手洗いを小まめに行う事で、ボディーコートの寿命を延ばす事が可能です。
ボディーが汚れたら、小まめな洗車が重要です。
まとめ
ガラスコートはガラス質の被膜により水はけがよく、汚れが付着しても簡単に落とせる、傷が付きにくいと言う良い点がありますが、泥汚れや紫外線、酸性雨などの外部要因によってボディーコートの効き目が弱まるため、まめな洗車が大切です。
ガラスコートの耐用年数はあくまで目安であり、3~5年のコートでも1年に1回はコートの具合を確かめて、効き目が弱まったと感じたら再施工がおススメです。
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